我が家の畑には、3か所ウドが生える場所があります
昔、山菜好きの祖父や父がそこら辺に自生していたものをもってきて植えたようです
香りが強く独特の味で、小さいころから味噌汁の具やら『ぬた』にしてよく食べていました
若い葉や茎は柔らかくて美味しいですが、大きくなると硬くて木のようになります
『ウドの大木』ということわざもある通り、
まさに今、畑にあるウドは硬くなっていて食べることが出来ません
今回は、そんな硬くなってしまったウドの葉や茎で2種類の色素を使って草木染めをします
- ウドを使った草木染めってどうやるの?
- 2種類の色素ってどう出すの?
ウコギ科タラノキ属の多年草であるウド(独活:Aralia cordara)は、ヤマウド・ケウド・ホンウド・ツチタラと呼ばれることもあります
栽培時に日光を完全に遮断して白くする『軟白うど』、
少し土をかぶせる程度で日光に当てて緑の部分が多くなった『緑化うど』
同じ種類ですが区別されています
うちの畑のウドは、自然のままに任せているので自生しているものと同様の『緑化うど』です
『緑化うど』は『山うど』として流通しています
その山うどの硬くなってしまった葉や茎で
黄色い色素のフラボノイドと、緑の色素のクロロフィルの2種類を抽出して布を煮染めします
この記事では、
- 初心者でも分かるウドを使った草木染めの簡単なやり方
- ウドから2種類の色素を抽出する方法
- しっかり色を出すコツ
を画像を交えて紹介します
今回もすべての媒染液で染色をすすめていますが、おすすめは銅媒染液です
成長してしまったウドを手に入れるのは大変かもしれませんが、
ご近所で見かけたり、手に入れることが出来た際には是非挑戦してみてください!
おうち時間でお子さんと一緒に『ものづくり』を楽しみませんか?
一緒に試行錯誤しながら色々なもので染め物をしてみましょう♪
【草木染めをした布で優しく自然な色合いの小物を作っています↓】
うどを使った草木染めをするときの13のポイント
- 染める前に染め物を豆乳で前処理をして、平置きでしっかり乾燥させる
- 乾燥した染め物は染料に入れる前までにぬるま湯で柔らかくしておく
- うどはフラボノイド(黄色)、クロロフィル(緑)の2種類の色素で染められる
- うどの1番抽出液(フラボノイド)は、細かく刻んだウドをたっぷりの水で煮出す
- フラボノイドの煮染めは煮出した液に重曹を小さじ1/2加え、沸騰後火を弱め30分煮染めする
- 2番抽出液(クロロフィル)は、たっぷりの水と重曹小さじ2を加え煮出す
- 煮染めはフラボノイド同様、沸騰後火を弱め30分煮染めする
- 染めているときは菜箸で揺り動かし染めムラを防止する
- 染色後、水洗せずに媒染液に入れる
- おすすめの媒染液は銅媒染液
- 鉄媒染液は他の媒染液に影響してしまうので、なるべく離して置き作業も別で行う
- 媒染後、色が薄いと感じたら、染色→媒染を気に入った色になるまで繰り返す
- 最後の媒染後は、媒染液をしっかりと洗い落す
晴れてるし畑の草取りしよう!
畑の作物もグングン育ってるね♪
なんだかウドがどんどん大きくなってるよね
硬くて食べられないし、
上手く出来るか分からないけど草木染めしてみよう
うどで草木染めを始めよう
2022年6月20日天気(くもりときどき晴れ) 27℃ 70%
昨日、畑の草取りのついでに切ったウドの葉と茎を使って草木染めをします
直ぐに使おうと思っていたので冷蔵保存していました
今回使うウドは全部で245gです
染める布は綿100%、サイズ約11×11㎝を6枚(重さ9g)、
2色素分(フラボノイド、クロロフィル)用意します
染め物の素材には、草木染めに向いているものと向いていないものがあります
❀草木染めに向いている素材❀
◎ | 前処理なしで良く染まるもの | シルク、ウールなどの動物性のもの |
〇 | 前処理をすると染まるもの | 木綿、レーヨン、麻などの植物性のもの (布以外・・・紙、バンブーなど) |
❀草木染めに向いていない素材❀
△または× | 染まらない もしくは染まりにくいもの | ポリエステル、アクリル、ナイロンなどの化学繊維 |
うどを使った染色の材料・道具
綿100%の布、豆乳(今回はキッコーマン調整豆乳)、うど(今回は245g)、
前処理用ボウル×1個、
ザル×1個、濾した液を受けるボウル×1個、
媒染液用ボウル×5個(ボウルはステンレス製かプラスチック製かホーロー製)、
焼ミョウバン(今回はケンエーの焼ミョウバン)、銅媒染原液、鉄媒染原液、
クエン酸(健栄製薬(株)クエン酸結晶)、重曹((株)ビバホーム)、
カンロ杓子×2個(媒染液をすくう用のかき氷シロップかけるやつ1杯15ml)、
計量スプーン、水、ホーロー鍋、計量カップ、菜箸×2膳(今回は割り箸)、
キッチンスケール、ハサミ
使用する媒染は5種類です
- アルミ媒染・・・ミョウバン
- 銅媒染・・・酢酸銅(自作)
- 鉄媒染・・・酸化第二鉄(自作)
- 酸媒染・・・クエン酸
- アルカリ媒染・・・重曹
媒染液による色の違いをみるため色んな種類を用意しました
ですが、
前述したとおり銅媒染液がおすすめで、他はあまり染まりません
実際にあなたが染める際は、銅媒染を用意しましょう
草木染め:染めたい布に前処理をする方法
布の汚れや糊などを落とすために少量の中性洗剤をつけて、ぬるま湯でよくもみ洗いし絞ります(染め物の精錬)
豆乳:水=1:1の液をボウルに入れてよく混ぜ、染め物を浸しましょう(染め物の濃染処理)
これは染料を入りやすくするためです
植物性の布はタンパク質が無いと染まらないので、豆乳により人工的にタンパク質をつけます
※動物性のシルクやウールなどの布には動物性タンパク質が付いているので濃染処理は必要ありません
20~30分浸したらタンパク質が落ちてしまうので水では洗わず、
そのまま固く絞りシワをしっかり伸ばして、平置きでよく乾かしましょう
※平置きにすることで染めムラを軽減することが出来ます
くっさ~くなってしまうので、よく晴れた日に干して手早く乾燥させます
晴れた日にまとめて前処理をしておいて、使わない布はジップ式のビニール袋に入れて冷凍しておくと便利です
乾燥した布はアイロンをかけておくと保存しやすいですよ
うどの色素を抽出し、煮染めする方法
前処理して乾燥した布は、染色の前までにぬるま湯で洗って柔らかくしておきます
うどのフラボノイド抽出と染色
うどの葉と茎をハサミでザックリ細かくしましょう
ハサミで切ると広がる山菜特有のさわやかな香り!
細かくしたウドと水2ℓをホーロー鍋に入れ、火にかけます
沸騰後、火を弱め30分煮出します
時々菜箸でウドをかき混ぜ、色素がよく出るようにしましょう
30分後、火を止めてザルで濾します
ザルで濾した出し殻は、クロロフィルの染色で使うので捨てずに取っておいてください
ザルで濾した液体が1番抽出液(黄色い色素のフラボノイド)です
フラボノイドは色が薄いので、1番抽出液に重曹小さじ1/2を加えて発色をよくします
これを染料とします
染め物を鍋に入れて火にかけ、沸騰後火を弱め30分煮染めします
染めムラ防止のため、時々菜箸で布を揺り動かしましょう
この間に媒染液を作ります
草木染めの媒染液を調整する
今回使う鉄と銅媒染液は自分で作ったものです
作り方は、【草木染め鉄媒染液・銅媒染液】釘や銅線を使って初心者でも簡単に出来る作り方!の記事に書いてあります
【各媒染液の調整については、こちら↓↓↓】
うど染めした布を水で洗い、各媒染液に浸ける
30分後、染料から布を取り出します
普段であれば染料のカスが残らないように水洗いするのですが、
しっかり色を残すために今回は水洗いせずに媒染液に入れましょう
染めムラになってしまうかと心配になりますが、
実際やってみたところ綺麗に染まったのでウドの染色では水洗いなしで大丈夫です
無媒染はここで完了なので、しっかり水で洗いましょう
媒染に使用する菜箸は、
鉄媒染用だけ分かるようにテープなどで印を付けて、更に鉄媒染液だけ離しておきます
各媒染液に20分浸けている間、時々菜箸で優しく揺り動かしましょう
20分経ったら取り出して水でよく洗います
この時も鉄媒染だけ別にしましょう
もし、洗い終わって色が思ったより薄いと感じたら
- 再び染料に入れ10分煮染め
- 水洗いせず、媒染液に10分入れて水洗い
という工程を気に入った色になるまで繰り返します
今回は1回で終わりにしました
日陰でよく乾かして、アイロンを掛けます
- アルミ・アルカリは、ごく薄い黄色
- 銅は、少しくすんだ黄色
- 他はほとんど染まらず
各媒染液の色は、
アルミは薄い黄色、銅は緑がかった黄色、鉄は少し黒ずんでいる、酸は変化なし、アルカリは黄色でした
うどのクロロフィル抽出と染色
先程フラボノイドを抽出した出し殻のウドと水2ℓをホーロー鍋に入れ、
そこに重曹小さじ2を加えて火にかけます
沸騰後、火を弱め30分煮出します
時々菜箸でウドをかき混ぜ、色素がよく出るようにしましょう
30分後、火を止めてザルで濾します
ザルで濾した液体が2番抽出液(緑の色素のクロロフィル)で、これを染料とします
染め物を鍋に入れて火にかけ、沸騰後火を弱め30分煮染めします
染めムラ防止のため、時々菜箸で布を揺り動かしましょう
この間に媒染液を作ります
前述と同様の理由で、染色後水洗いせずにそのまま媒染液に20分浸けます
無媒染はここで完了なので、しっかり水で洗いましょう
媒染に使用する菜箸は、
鉄媒染用だけ分かるようにテープなどで印を付けて、更に鉄媒染液だけ離しておきます
各媒染液に20分浸けている間、時々菜箸で優しく揺り動かしましょう
20分経ったら取り出して水でよく洗います
この時も鉄媒染だけ別にしましょう
もし、洗い終わって色が思ったより薄いと感じたら、
- 再び染料に入れ20分煮染め
- 水洗いせず、媒染液に10分入れて水洗い
という工程を気に入った色になるまで繰り返します
今回は3回繰り返しました
日陰でよく乾かして、アイロンを掛けます
草木染めキット販売↓↓↓\無くなり次第終了/
- アルミは、ごく薄い黄色
- 銅は、浅緑(若葉のような、うすい緑色)
- 他は染まらず
草木染めの始め方(基礎知識と道具一覧)については、
【初心者でも簡単&手軽に草木染めが始められる!】草木染めって何?必要なものは?これで草木染めのやり方がまるっと分かる!材料・道具一覧
を参照してください
各媒染液の色は、
アルミ・アルカリはうすい黄色、銅はうすい緑色、鉄は少し黒ずんでいる、酸はうすい茶色でした
染色の作業が終わったら、
媒染液を水で希釈して、水道の水を流しながら少しずつ捨てます
使った道具やシンクなどは綺麗に洗い流し、最後にしっかり手を洗いましょう
最後にもう一度、
うどを使った草木染めをするときの13のポイントをおさらいします
- 染める前に染め物を豆乳で前処理をして、平置きでしっかり乾燥させる
- 乾燥した染め物は染料に入れる前までにぬるま湯で柔らかくしておく
- うどはフラボノイド(黄色)、クロロフィル(緑)の2種類の色素で染められる
- うどの1番抽出液(フラボノイド)は、細かく刻んだウドをたっぷりの水で煮出す
- フラボノイドの煮染めは煮出した液に重曹を小さじ1/2加え、沸騰後火を弱め30分煮染めする
- 2番抽出液(クロロフィル)は、たっぷりの水と重曹小さじ2を加え煮出す
- 煮染めはフラボノイド同様、沸騰後火を弱め30分煮染めする
- 染めているときは菜箸で揺り動かし染めムラを防止する
- 染色後、水洗せずに媒染液に入れる
- おすすめの媒染液は銅媒染液
- 鉄媒染液は他の媒染液に影響してしまうので、なるべく離して置き作業も別で行う
- 媒染後、色が薄いと感じたら、染色→媒染を気に入った色になるまで繰り返す
- 最後の媒染後は、媒染液をしっかりと洗い落す
うどは、若芽から成長してしまうと大きくなり硬くて食べられなくなってしまいます
大きくなりすぎないように切るついでに草木染めをしてみました
他の葉物同様、黄色と緑色の2種類の色素が抽出できます
いつも染色後、布を水洗いしてから媒染液に入れていました
今回は、
水洗いをせずに媒染液に入れることで、よりしっかり色が付いたと思われます
染めムラにもならず綺麗に染まったので、ぜひ試してみてください
緑に染める材料として他にも、
ニンジンの葉・柚子の葉・青じそ・ネギ・春菊・よもぎ・カブの葉でもクロロフィルによる染色をしています
それぞれ草木染めらしい優しい緑に染まっていますよ☆
次回は、赤ジソで染色します
ここまで読んでいただき、ありがとうございました♪
草木染め:煮染め一覧
材料を煮出して抽出した染料に染め物を入れ、火にかけて染色する方法草木染め:花びら染め一覧
材料を食物酢の中で揉みこんで色素を抽出した染料に、染め物を浸けて染色する方法ヒメヒオウギズイセン | なすの皮 | ブドウ |
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シラン | 赤紫蘇(あかじそ) | ヒメヒオウギズイセンキット |
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草木染め:その他
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