お家やお庭にあるもので手軽に始められる草木染め
シミが出来たり、色褪せてしまった服やストールを鮮やかに蘇らせることが出来ます
その草木染めには染色の前にしなければならない工程があり、
それが『前処理』です
前処理には染め物の表面のゴミや糊を落とすために行う『精錬』と
染め物に色が入りやすくするための『濃染処理』があります
精錬は染色前に必ず行い、
濃染処理はウールやシルクなど動物性の染め物には必要ありません
※色素は染め物のタンパク質にくっ付くことにより染まるため、動物性タンパク質がある染め物には必要ありません
一方、木綿など植物性の染め物にはタンパク質がなく、染まりにくいので濃染処理という作業が必要です
我が家で濃染処理をするときは手に入れやすいので豆乳を使っています
※牛乳でもいいですが臭いの関係で豆乳がおすすめ!
豆乳のような自作の濃染剤だけでなく、市販の濃染剤もあります
また、草木染めには色止めと発色効果を持つ『媒染』という工程があり、我が家ではこれに使う媒染液も自作です
この媒染液にも市販品があります
いつもは自作のものを使っているけど、
市販の濃染剤と媒染液の使用感と染まり上がりはどうなんだろう?
草木染め用の濃染剤や媒染液は、お店では見かけませんがネットショップにはたくさんの種類があります
今回は購入した市販の濃染剤『ディスポン』と媒染剤『アルミ媒染液』を使った染め比べです
その他、ネットショップには日常では手に入りにくい西洋茜、コチニールなどの染料も販売しています
この記事では、
- 濃染剤『ディスポン』の使い方・使用感
- ディスポンと豆乳の染まり方の違い
- 市販の『アルミ媒染液』の使い方・使用感
- アルミ媒染液とミョウバンの染まり方の違い
を画像を交えて紹介します
実際私も市販品を使ったことが無いので、どんな仕上がりになるか楽しみです
おうち時間でお子さんと一緒に『ものづくり』を楽しみませんか?
一緒に試行錯誤しながら色々なもので染め物をしてみましょう♪
【草木染めをした布で優しく自然な色合いの小物を作っています↓】
市販の濃染剤『ディスポン』と『アルミ媒染液』を使用するときのポイント
【ディスポンを使った濃染処理】
- 木綿(染め物)に中性洗剤をつけよく揉み洗いし、ぬるま湯でしっかり洗い流す
- 80~90℃の熱湯1ℓにディスポンを3~4㎖加え、よく混ぜる
- 染め物を広げて入れ、15~20分間よく揺り動かす
- その後、取り出して水でよく洗ってから染色する
【アルミ媒染液を使った媒染】
- 染め物の重さの濃色20%、中色10%、淡色5%を用意する
- 染め物が浸かる程度の水に用意した媒染液を加え、よく混ぜる
- 濡らした染め物を広げて入れ、20~30分間ムラにならないようよく揺り動かす
- その後、取り出して水でよく洗って乾かす
ネットで頼んでた草木染めの材料が届いたよ~
ありがとう!染料に、濃染剤に、媒染液に・・・
わ~!色んな種類が売ってるんだね
そうだね♪
いつも自作してるけど、どんな違いがあるんだろうね
- 草木染め:市販品と自作のもので染め比べをしよう
- 草木染め:染めたい布に前処理をする方法『豆乳』
- 草木染め:染めたい布に前処理をする方法『ディスポン』
- ナスの皮の染料に入れ花びら染めする方法
- ナスの皮を使って市販品と自作で染め比べをするときの材料・道具
- 草木染めの媒染液を調整する『ミョウバン』
- 草木染めの媒染液を調整する『市販のアルミ媒染液』
- なすの皮染めした染め物を媒染液に浸ける
- 玉ねぎの皮の染料に入れ煮染めする方法
- 玉ねぎの皮を使って市販品と自作で染め比べをするときの材料・道具
- 玉ねぎの皮染めした染め物を媒染液に浸ける
- 草木染め:市販と自作で染め比べした結果・まとめ
- 草木染め:煮染め一覧
- 草木染め:花びら染め一覧
- 草木染め:その他
草木染め:市販品と自作のもので染め比べをしよう
2024年1月31日天気(晴れ) 14℃ 40%
ネットで購入していた市販の濃染剤と媒染液
今回は市販品を使ったものといつものように自作したものとで染まり上がりを比べてみようと思います
YouTubeで市販品と自作の染め比べを公開中!
こちらはショート動画ですが、フルバージョンもありますので、
『ゆる~っとものづくり』のチャンネルより
高評価・チャンネル登録、是非よろしくお願いします↓↓↓
前述のように濃染剤は『ディスポン』と豆乳、媒染剤は『アルミ媒染液』とミョウバンです
染める布は綿100%、サイズは約11×11cmが1染料当たり4枚ずつで重さは4枚で約8gです
ディスポンを使用する染め物には『デ』、豆乳には『豆』
市販のアルミ媒染液を使用する染め物には『市』、ミョウバンには『ミ』と印をつけました
※媒染液の染め比べの濃染処理は両方とも豆乳です
染め物の素材には、草木染めに向いているものと向いていないものがあります
❀草木染めに向いている素材❀
◎ | 前処理なしで良く染まるもの | シルク、ウールなどの動物性のもの |
〇 | 前処理をすると染まるもの | 木綿、レーヨン、麻などの植物性のもの (布以外・・・紙、バンブー〈竹〉など) |
❀草木染めに向いていない素材❀
△または× | 染まらない もしくは染まりにくいもの | ポリエステル、アクリル、ナイロンなどの化学繊維 |
草木染め:染めたい布に前処理をする方法『豆乳』
布の汚れや糊などを落とすために少量の中性洗剤をつけて、ぬるま湯でよくもみ洗いし絞ります(染め物の精錬)
染料が入りやすくするためボウルに豆乳:水=1:1の液を入れ、布を浸しましょう(染め物の濃染処理)
濃染処理とはその名の通り、染め物を染まるようにする、または濃く染めるための工程です
染料は染め物のタンパク質と反応して色がつきます
今回の染め物は、綿100%の植物性なのでタンパク質が付ていません
そのため人工的にタンパク質を付ける必要があります
タンパク質を付けるには牛乳でもいいのですが、臭いの関係上、豆乳がオススメです!
※動物性のシルクやウールなどの布には動物性タンパク質が付いているので濃染処理は必要ありません
20~30分浸したらタンパク質が落ちてしまうので水では洗わず、
そのまま固く絞りシワをしっかり伸ばして、平置きでよく乾かしましょう
※平置きにすることで染めムラを軽減することが出来ます
くっさ~くなってしまうので、よく晴れた日に干して手早く乾燥させます
晴れた日にまとめて前処理をしておいて、使わない布はジップ式のビニール袋に入れて冷凍しておきましょう
乾燥した布はアイロンをかけておくと保存しやすいのでオススメです!
草木染め:染めたい布に前処理をする方法『ディスポン』
布の汚れや糊などを落とすために中性洗剤をつけよく揉み洗いし、ぬるま湯でしっかり洗い流したら軽く絞ります
今回は染め物が少ないので80~90℃の熱湯500㎖をボウルに用意しました
そこにディスポンを2㎖加えてよく混ぜます
染め物を広げて入れ、15~20分間よく揺り動かします
その後、取り出して水でよく洗い軽く絞りましょう
ディスポンはそのまま染色の工程に入れます
ナスの皮の染料に入れ花びら染めする方法
ナスの皮を使って市販品と自作で染め比べをするときの材料・道具
綿100%の布、豆乳(今回はキッコーマン調整豆乳)、
ディスポン(今回は株式会社 誠和)、ナスの皮(今回は約200g)、
前処理用ボウル×2個(ディスポン用、豆乳用)、染色用ボウル、
媒染液用ボウル×2個(市販のアルミ媒染液用、ミョウバン用)、
※ボウルはステンレス製かプラスチック製かホーロー製
焼ミョウバン(今回はケンエー焼みょうばん)、市販のアルミ媒染液(今回は株式会社 誠和)、
食物酢、計量スプーン、水、計量カップ、菜箸、不織布、輪ゴム、電気ポット、
キッチンスケール、キッチンタイマー、ビニール手袋
豆乳で前処理して乾燥した布は、染色の前までにぬるま湯で洗って柔らかくしておきます
前述したようにディスポンに浸けた染め物はそのままで大丈夫です
冷凍保存していたナスの皮を不織布に入れ、皮が出ないように輪ゴムで縛ります
ボウルに不織布に入ったナスの皮と食物酢250㎖を入れて、色素を揉みだしましょう(最低10分間)
不織布をよく絞って取り出したものが染料です
ここに染め物を入れ、染めムラ防止のため時々菜箸で布を揺り動かしながら1時間浸けます
今回の染め物はディスポン処理1枚、豆乳処理3枚です
この間に媒染液を作りましょう
草木染めの媒染液を調整する『ミョウバン』
ミョウバンは染め物の重さの5~10%必要です
今回は染め物の重さが約6gなのでミョウバンは0.3g
ボウルにミョウバンを入れたら、少量の熱湯でよく溶かします
そこに染め物が浸かるくらいの水(200㎖)を加えて均一になるようよく混ぜたものがアルミ媒染液です
草木染めの媒染液を調整する『市販のアルミ媒染液』
今回は染まり上がりを濃色にしたいので、染め物の重さの20%のアルミ媒染液を用意します
染め物の重さが約2gなのでアルミ媒染液は0.4㎖
ほんのちょっとですね
ボウルに用意したアルミ媒染液と染め物が浸かる程度の水(200㎖)を加え、よく混ぜます
銅媒染原液と鉄媒染原液も自作しています
作り方は、【草木染め鉄媒染液・銅媒染液の作り方】釘や銅線を使って初心者でも簡単に出来るやり方!の記事に書いてあります
【各媒染液の調整については、こちら↓↓↓】
なすの皮染めした染め物を媒染液に浸ける
1時間後、染まった色が薄いので水で洗わず、そのまま各媒染液に浸けましょう
時々菜箸で優しく揺り動かしながら20~30分浸けます
20~30分経ったら、取り出して水でよく洗います
色が薄がったので、
- 再び染料に10分浸ける
- そのまま媒染液に10分入れて媒染し、水洗い
という工程を3回繰り返しました
日陰でよく乾かして、アイロンを掛けます
左から
- 濃染処理『豆乳』,媒染『ミョウバン』は、染めムラあり・くすんだ水色
- 濃染処理『ディスポン』,媒染『ミョウバン』は、均一・明るい水色
- 濃染処理『豆乳』,媒染『ミョウバン』は、染めムラあり・くすんだ水色(一番左と同じ条件)
- 濃染処理『豆乳』,媒染『市販のアルミ媒染』は、少し染めムラあり・薄いくすんだ水色
各媒染液の色は、ミョウバンはネイビー、市販のアルミ媒染は薄いダークパープルでした
玉ねぎの皮の染料に入れ煮染めする方法
玉ねぎの皮を使って市販品と自作で染め比べをするときの材料・道具
綿100%の布、豆乳(今回はキッコーマン調整豆乳)、
ディスポン(今回は株式会社 誠和)、玉ねぎの皮(今回は8g)、
ザル×1個、前処理用ボウル×2個(ディスポン用、豆乳用)、
媒染液用ボウル×2個(市販のアルミ媒染液用、ミョウバン用)、
※ボウルはステンレス製かプラスチック製かホーロー製
焼ミョウバン(今回はケンエー焼みょうばん)、市販のアルミ媒染液(今回は株式会社 誠和)、
ホーロー鍋、計量スプーン、水、計量カップ、菜箸、キッチンスケール、キッチンタイマー
豆乳で前処理して乾燥した布は、染色の前までにぬるま湯で洗って柔らかくしておきます
前述したようにディスポンに浸けた染め物はそのままで大丈夫です
染め物(8g)と同じ重さの玉ねぎの皮(8g)と水1ℓをホーロー鍋に入れ火にかけます
沸騰したら火を弱め20分煮出します
時々菜箸で揺り動かしましょう
20分後、火を止めてザルで濾します(1番抽出液)
※煮出した玉ねぎの皮は捨てずに取っておきましょう
先程、煮出した玉ねぎの皮と水1ℓを再びホーロー鍋に入れ火にかけます
沸騰したら火を弱め20分煮出します
時々菜箸で揺り動かしましょう
20分後、火を止めてザルで濾します(2番抽出液)
1番抽出液をホーロー鍋に戻し、2番抽出液を加えてよく混ぜたものが染料です
ここに染め物を入れ、沸騰しないように火加減します
煮染めは30分、染めムラ防止のため時々菜箸で布を揺り動かしましょう
今回の染め物はディスポン処理1枚、豆乳処理3枚です
この間に前述のように媒染液を調整します
玉ねぎの皮染めした染め物を媒染液に浸ける
30分後、染め物を取り出して水でよく洗い軽く絞ります
この時点で、ディスポン処理と豆乳処理では違いが見られます
ディスポンの方が豆乳より染まり方が濃いです
時々菜箸で優しく揺り動かしながら各媒染液に20~30分浸けましょう
20~30分経ったら、取り出して水でよく洗います
よく染まっているので、今回は染色→媒染を1回で終わりにしました
日陰でよく乾かして、アイロンを掛けます
左から
- 濃染処理『豆乳』,媒染『ミョウバン』は、染めムラあり・黄土色
- 濃染処理『ディスポン』,媒染『ミョウバン』は、均一・オレンジがかった茶色
- 濃染処理『豆乳』,媒染『ミョウバン』は、染めムラあり・黄土色(一番左と同じ条件)
- 濃染処理『豆乳』,媒染『市販のアルミ媒染』は、少し染めムラあり・少し薄いオレンジがかった茶色
各媒染液の色は、ミョウバンは濃くて明るい黄色、市販のアルミ媒染は薄い黄色でした
染色の作業が終わったら、
媒染液を十分な水で希釈して、水道の水を流しながら少しずつ捨てます
使った道具やシンクなどは綺麗に洗い流し、最後にしっかり手を洗いましょう
草木染めの始め方(基礎知識と道具一覧)については、
【初心者でも簡単・手軽に草木染めが始められる!】草木染めって何?必要なものは?これで草木染めのやり方がまるっと分かる!材料・道具一覧を参照してください
最後にもう一度
市販の濃染剤『ディスポン』と『アルミ媒染液』を使用するときのポイントをおさらいします
【ディスポンを使った濃染処理】
- 木綿(染め物)に中性洗剤をつけよく揉み洗いし、ぬるま湯でしっかり洗い流す
- 80~90℃の熱湯1ℓにディスポンを3~4㎖加え、よく混ぜる
- 染め物を広げて入れ、15~20分間よく揺り動かす
- その後、取り出して水でよく洗ってから染色する
【アルミ媒染液を使った媒染】
- 染め物の重さの濃色20%、中色10%、淡色5%を用意する
- 染め物が浸かる程度の水に用意した媒染液を加え、よく混ぜる
- 濡らした染め物を広げて入れ、20~30分間ムラにならないようよく揺り動かす
- その後、取り出して水でよく洗って乾かす
草木染め:市販と自作で染め比べした結果・まとめ
前述したとおり、ナスの皮を使った花びら染めでも玉ねぎの皮を使った煮染めでも豆乳の濃染処理よりディスポンの方が濃く染まりました
また染めムラも少なかったです
操作方法としては豆乳は浸けて絞って乾かすという手順ですが、ディスポンは熱湯を用意しなくてはいけないので、お子さんと行うときは注意が必要です
ただ、豆乳は染め物を完全に乾かすという工程があるので直ぐに染色に入れませんが、
ディスポンは浸けて洗った後、直ぐに染色が出来ます
媒染の工程に関しては、ミョウバンよりも市販のアルミ媒染液の方が均一に染まりました
染色の濃さはナスの皮ではミョウバンの方が濃く、玉ねぎの皮ではアルミ媒染液の方が濃かったです
操作方法としてはミョウバンは溶かすのが難しいため少量の熱湯を使って完全に溶けるまでしっかり混ぜなければなりません
そのため、こちらもお子さんと行うときには注意してください
アルミ媒染液は特に難しい作業はありません
自作でも市販品でも一長一短ですが、
私が染色をする際には、身近なものを使いたいので自作のものを使用していこうと思います
ですが、ハンドメイドをするなど安定して染めたい場合はやはり市販品がオススメです
次回は、サザンカの花びらで草木染めをします
ここまで読んでいただき、ありがとうございました♪
草木染め:煮染め一覧
材料を煮出して抽出した染料に染め物を入れ、火にかけて染色する方法草木染め:花びら染め一覧
材料を食物酢の中で揉みこんで色素を抽出した染料に、染め物を浸けて染色する方法ヒメヒオウギズイセン | なすの皮 | ブドウ |
いちご | 椿 | つつじ |
シラン | 赤紫蘇(あかじそ) | ヒメヒオウギズイセンキット |
ミョウガ(茗荷) | ボケ(木瓜) | アルストロメリア |
サザンカ |
草木染め:その他
草木染めの基礎知識や媒染液、エタノール抽出、藍染に関する記事鉄媒染液・銅媒染液 | 媒染液の種類・調整方法 | 基礎知識・道具一覧 |
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